地方公務員の仕事をイメージしたとき、まっ先に出てくるのが
というイメージではないでしょうか
そこで今回は
「地方公務員は本当に残業が少ないのか?」
というギモンを解決できるように、17年間の公務員経験などをもとにして解説します
ちなみに、過去の記事で公務員のメリットやデメリットも解説していますので、あわせてご覧ください


目次
地方公務員は本当に残業が少ないのか?
〇 平成27年度の統計上の比較では、民間企業とほぼ同じ
〇 部署ごとの残業時間の差が大きいことが多い
〇 近年のワークライフバランスの取り組みで残業時間を減らすように努力しているが、職員数が減少傾向にあるため、1人当たりの負担は増加している
〇 コロナ禍のように災害などが発生した場合は、民間企業よりも残業が多くなる傾向が強い
〇 予算により年間の残業時間が決められているため、サービス残業が発生する場合がある
残業時間の統計上の比較
まずはこちらの表をご覧ください



年間残業時間(時間) | |
国家公務員 | 233 |
地方公務員(都道府県、政令指定都市、県庁所在市) | 158 |
民間労働者(30人以上事業所) | 154 |
【出典:総務省「地方公務員の時間外勤務に関する実態調査」H29.3.29公表】
5年前の統計なので少し古いですが、都道府県(47団体)、政令指定都市(20団体)、政令指定都市を除く県庁所在市(32団体)における、平成27年度における残業時間を集計したものです
民間労働者は30人以上の事業所を対象としていますが、比較すると時間数はほぼ変わらないことがわかります
そして、国家公務員とはかなりの差があることがわかります
本府省(財務省など)に勤めている国家公務員は、国会中の質問待機や答弁書の作成などで深夜までの残業がありますので、ものすごい残業時間になるのだと思います
調査対象が一部で、さらに職種によりバラツキもあると思うので一概には言えませんが、平均としては地方公務員が民間労働者よりも極端に残業時間が少ないということはなさそうです
部署や繁忙期による残業時間の差が大きい
私が勤めていた役所では部署や繁忙期による時間外の差が大きい職場でした
慢性的に職員数が少なかったり年間の業務量が多い部署と、業務量に対する職員数が多い職場があるため、定時ピッタリで帰れる職場と深夜まで残業している職場が極端に分かれていました
また、議会を担当している部署などは、会期中は議会の運営や議員からの質問に対応するために深夜まで残業があります
役所でよく見かけるような「定時になったら職員がさーっと帰っていく光景」は、実はアルバイトや一部の職員だけだったりします
ワークライフバランスの取り組み
2019年から実施されている「働き方改革」により、各自治体もワークライフバランスの取り組みを進めており、長時間労働の縮減などを推進しています
しかし、一方では人件費削減のために職員数を減らしている自治体も多いことから、職員1人当たりの業務負担が増えている自治体があることも事実です
私が勤めていた職場も、2018年頃からワークライフバランスの取組を本格的に開始し、「一斉定時退庁日」や「一斉消灯日」などを設けて時間外勤務の縮減を進めていましたが、業務量自体が減るわけではないので、記録には残らない「闇残業」が増加していました
災害発生時の残業
今回の新型コロナウイルスのような災害が発生すると、日常業務に災害対応の業務がそのまま乗っかることになりますので、部署によっては業務が倍以上になります
特に総務、防災を担当している部署や、新型コロナのような疫病が発生した場合は環境系や保健所、自然災害の場合は土木関係などは災害対応のために修羅場と化します
報道にも取り上げられていますが、「10万円の特別定額給付金」に関しても、ほぼすべての役所で徹夜に近い体制で作業をしていたと思います
私は選挙管理委員会で働いていたこともありますが、選挙当日から2日間を徹夜で過ごしたこともありました
予算が決められていることによるサービス残業
役所の残業代というのは、年度が始まった時点で予算として決められており、急な事情などがない限りは予算内でやり繰りする必要があります
さらに、規模の大きな役所では、その予算を部署ごとに振り分けていくことになります
そのため、もし年度の途中で予算が尽きてしまったとすると、以後の残業代は支給されず、事実上の「サービス残業」ということになってしまいます
もちろん、災害などが起きたときは追加で予算を用意したり、部署間で予算のやり取りをしたりしますが、規模の小さな役所になればなるほど、年度の途中に予算が尽きてしまう可能性があります
おわりに
何となく「公務員の仕事は楽だ」というイメージがあったのではないかと思いますが、実態は民間労働者とほとんど変わらなかったりします
また、仕事をロクにしない年配者や、「優秀だから」という理由で仕事をたくさん押し付けられて残業を強いられている職員がいるのも民間企業と同じです
もし「楽そうだから」という理由で公務員の仕事に興味があるのでしたら、現実は残業もあるし有休を取りずらい職場もあったりしますので、それを頭の片隅に入れておいてくださいね
過去の記事でも書きましたが、公務員には「収入の安定性」などのメリットはありますが、当然デメリットもありますので、必ずその両面を見るようにしてください
それではまた

