先日、このようなニュースが報道されました
自民党役員連絡会で23日、新型コロナウイルスの景気対策として消費税減税の是非が議論になった。
出席者によると、西田昌司参院国対委員長代行が税率を実質8%に引き下げるよう主張。
これに対し、稲田朋美幹事長代行が「無責任だ。将来に付けを回すべきでない」と反論した。
岸田文雄政調会長が「意見が交錯している。年末に向け引き続き議論したい」と引き取った。
消費税減税は西田氏の持論。
党内若手らにも期待する声がある。
一方、甘利明税制調査会長は否定的な見解を示している。
【出典:2020/6/23共同通信より】
2020年の年明けから猛威を振るっている新型コロナウイルスの影響で大ダメージを受けている日本経済を救うため、ようやくこのような話題が出てきました
ということで今回は
というギモンについて考察していきます
ちなみに消費税の引き下げを主張している西田昌司議員は、2020年10月に消費税を増税した影響やコロナ禍による不況が見えはじめた2020年3月頃から「消費税ゼロ」を提言していた議員です
今回もそれを貫いて主張してほしかったところですが、いきなりそんな提言をしても相手にしてもらえないと判断し、とりあえず現実的な数字からにしたと思われます
【西田昌司チャンネル(YouTube)より】
目次
消費税の減税はできないの?
〇 5%→10%への増税分のうち、少なくとも半分程度は減税が可能だと考えられる
〇 だが、財務省は絶対にやりたくないと考えているので難しい
〇 政府や国会議員も財務省から説明されている「減税できない理屈」を聞いているので難しいと思っている
なぜ消費税は5%→10%に増税となったのか?
政府が消費税を10%に増税した目的は、半分が「社会保障の充実」で、もう半分は「政府の借金を返すお金にする」が目的です
まずは、なぜ消費税が5%→10%へ増税されたのかを確認しておきましょう
2014年に消費税が5%→8%に増税された際に、このようなポスターを見たことがありませんか?

これは政府が「増税」の言い訳のために「税金」を使って街のあちこちに貼っていたポスターです
デカデカと
「消費税率の引き上げ分は全額、社会保障の充実と安定化に使われます」
と、いかにも「消費税の増税はやむを得ないことなんだ」とアピールしています
当時、ニュースでもしつこいくらいに報道されていたので、私も仕方ないことだと思っていました
しかし・・・これはカンペキなウソでした
というと少し言いすぎですが、「ヘ理屈をこねて増税分の大半を政府の借金返済に使っていた」というのが正確なところです
次の図をご覧ください
【出典:政府広報 平成29年3月31日更新版】
パッと見だと増税分を全額社会保障に使うように見えますが、黒枠の「7.3兆円」の部分に注目してみると
「安定的な制度を構築するため、将来世代につけ回す借金を軽減します」
と書いてあります
もっともらしく書いてありますが、要するに増税分である14兆円のうち半分以上は
「単なる借金の返済分」ということです
つまり、増税分の半分以上は財務省が目指している「政府の収支の黒字化」に使われるということです
ですが、これでもまだ減ったほうです
なにせ当初は「増税分の80%を借金の返済分」とする予定だったのですから・・・
国会の書類なのでちょっと小難しいですが、こちらをご覧ください



赤枠の部分だけ見てもらえればOKです
これは当時民主党だった山井和則議員から政府へ、消費税増税分「社会保障の充実」に使うのかを質問した書類です([質問主意書]といいます)
これに対する政府の回答がこちらです



これも赤枠のところだけ見てください
政府からの回答では「8%増税時は2割弱」、「10%増税時は2割程度」を社会保障の充実に使うと言っています。おいおい・・・
つまり、残りの8割は「借金の返済」に使う予定ということでした
2018年に使途が見直されて「5割」となったものの、それでも「借金返済のための増税」が目的だったと言ってもよいと思います
消費税の減税はムリなのか?
〇 減税は可能だと考えられる
〇 5%→10%へ増税分の約半分は「政府の借金返済に利用するお金」なので、少なくとも借金返済分を国債の借換えなどで対応することはできる
政府、財務省、そしてマスコミの巧みな世論誘導により、多くの国民は
という考え方が常識となってしまっているように感じます
実際、私もそう考える1人でした
しかし、現実は消費税増税分の半分以上が政府の借金を返済するために使われるだけなので、少なくともこの分は減税してもどうにかなると思います
さらに、2020年のコロナ禍のように日本経済が危機に瀕している状況なら、1年~2年程度なら「消費税ゼロ」にしても問題ないと思います
と思われるかもしれませんが、その解決方法は簡単で
「不足分の国債を発行」すればよいだけです
メチャクチャな方法に聞こえるかもしれませんが、少なくとも2020年時点の日本ならば、消費税減税分を国債で補填しても財政が破綻する心配はありません
現在の政府の借金はほとんど全額が「円」での借金です
一方で日本政府には「円」を作る力を持っているので、国債を発行して「円」を作り、借金を借換えすることが可能です
もちろんやりすぎると「インフレーション」を誘発する可能性がありますが、仮に増税分のうち政府の借金返済に使う「7兆円分(2.5%相当)」を減税し、その分を国債で補填したところでインフレが起きる可能性はごくわずかです


また、消費税を減税すると消費が活性化されやすくなるので景気が上向き、所得税や法人税などの他の税金が増えることが期待できるので、その分で補てんすることもできます
このように消費税を減税することは可能だと考えられるのですが、それを絶対に許さない人たちがいます
それが「財務省」「財務省の味方をしている国会議員」です
なぜ財務省は消費税の減税を許さないのか?
〇 財務省が消費税の減税を絶対に許さない理由は
「国債残高を0にする」
「政府の収支を黒字化する」
を達成したいから
冒頭にご紹介したニュースで、西田議員の主張に対して稲田朋美幹事長代行が
「(消費税の減税をするのは)無責任だ。将来に付けを回すべきでない」
と反論していますが、まさにこれが財務省の主張そのものであり、消費税の減税を決して許さない理由です
なぜなら財務省は「財務省設置法」という法律で決められている「健全な財政の確保」という任務を絶対的な正義としています
つまり財務省は、日本の景気が良かろうが悪かろうが1日も早く
「国債残高を0にする」
「政府の収支を黒字化する」
というのを目標にしているので、財務省の職員はそれを達成しようと全力で頑張っています
そのため、国会議員にも積極的に「消費税を増税する必要性」や「減税の危険性」を説明して回り、ヘタなことを言わせないように働きかけています
なので西田議員のような主張をされると、財務省にとっては本当に邪魔くさいはずです
ちょっと余談になりますが、稲田朋美幹事長代行が言っている「(消費税を減税するのは)無責任だ。将来に付けを回すべきでない」というのが本当にそうなのかを考えてみたいと思います
【稲田幹事長代行(財務省?)の主張】
① 消費税を減税する
↓
② 不足分を国債で補てんする
↓
③ 国債残高が増える【将来へのツケ】
↓
④ 将来の政府(国民)の負担が重くなる
↓
そんなことは許されない!
という主張なのだと思います
わからなくもないですが、 一方で私が考えているのは
【私の考え】
① 消費税を減税しない
↓
② 景気が悪化したまま回復しない
↓
③ 国民の消費が冷え込む
↓
④ 業績悪化で企業の倒産、個人事業主の廃業
↓
⑤ 雇用がなくなる →「将来へのツケ」
↓
⑥ 将来の国民の働き口がなくなる
↓
そんなことは許されない!
と考えています
国の財政も大事なことですが、基盤となる日本経済が良くなければ本末転倒です
おわりに
私の意見が絶対に正しいとは思っていませんが、少なくともこの記事を書いている2020年は、コロナ禍の影響で日本経済が今までにないダメージを受けています
倒産や失業者もどんどん増加してくることが確実だと思います
政府では「持続化給付金」や「国民への10万円の給付金」などの経済支援を行っていますが、それが特効薬になるとも思えません
税金は「景気の調整弁」の役割も持っています
こういう時にこそ、消費税にその役割を果たしてもらいたいのですが・・・
それではまた