こんにちは、そしてこんばんは もぐすけです
前回の記事で子供のころに体験した不思議な話をご紹介しましたが、もう1つ怖い体験があったので、その話を書いていこうと思います

目次
プロローグ
前回の話から1年後、相変わらず体が弱かった私は、またしても扁桃腺による高熱で肺炎を患ってしまい、おなじみのU病院に入院することになった
症状は前回入院したときほど重くなかったものの、また1ヶ月間という長い期間の入院になってしまうのであった・・・
入院生活
前回の入院で不思議な体験をしたというのに、当時の私はなにも気にすることなく、逆にすっかり顔なじみになった先生や看護師さんたちがいたので安心して過ごしていた
入院生活は相変わらずヒマな日々だったが、さすがに夜中に探検に出ようとは思わなくなっていた
なぜなら、前回の入院のときに出会った不思議なおじさんに言われた

というセリフを覚えていたので、相変わらず好奇心旺盛だった私もさすがに大人しくしていたのだと思う
探検再び
ある日の夕食後、その日は母親が見舞いに来ていたのだが、ふと腹の調子がおかしくなってきたのでトイレに行くことにした
病室のある3階のトイレに駆け込んだのだが、タイミングが悪く違う患者がお取り込み中だった
しかたがないので2階のトイレに行こうと思ったのだが、私の中にいる封印したはずの好奇心の小悪魔が突然

と私を誘惑し、理性の天使との攻防が始まった




といった攻防が少しの間あったのだが、けっきょく小悪魔が僅差で勝利してしまい、私は再び1階まで探検の旅に出ることになってしまった・・・
異変
1階までは前回と同じように階段を降りていったのだが、今回は消灯前なので階段や廊下は明るく照らされており、時おり患者や看護師さんが通りすぎていく
そうして特に探検しているという感じもないまま1階に到着した
少しドキドキしながら階段室からフロアへの重たい金属扉を開けたその時、空気が一変した
3階とは違って全体的にかなり暗かったのである
前回探検した時とさほど変わらないと言ってもよい
そして、やはり人の気配もまったくしない

恐る恐る待合スペースの方をじっと見てみたが、誰かがいるような気配はない
2階のトイレに撤退する妥協案も考えたが、それは自分の中でカッコ悪かったのでそのまま1階のトイレに突撃してみることにした
幸い、階段からトイレまでの距離はそれほどなく、あっさりと見つけることができた
トイレは真っ暗だったので照明をつけたのだが、3階のトイレとは違い、何とも言えない不気味な空気を感じたため、さっさと用を済ませて脱出することにした
緊急事態
そそくさと用を済ませ、水も流してさぁ脱出だーと ドアを開けようとした瞬間
ドアが開かない・・・・・
ドアは内側に開く方式のため、中からだと引くようにして開けるのだが、それがビクともしない・・・
通常であればカギを開けた瞬間に内側に開いてくる構造のためか、取っ手などは何もついておらず、少し出っ張っている鍵の部分を持つしかないのだが、まったく力が入らない
かれこれ5分くらい戦いを挑んでみたものの、もはや最強の壁と化したドアは私のような小さな抵抗など全く寄せつけなかった
全ての力を使い果たした私は、とりあえず再び便器に座って作戦を練ることにした
作戦会議
そこから私の小さな脳みそはフル回転を始めた
まず考えたのは

しかし病院内の孤島と化しているこのトイレに誰かが来るとは思えない・・・
そして現代のようにトイレに看護師さんへのSOSボタンなどというものも設置されていない
なにより、見つかったときに看護師さんだけではなく、もれなく母親からも怒られるというよけいなコンボまでついてくるため、その案はすぐに却下した
あとは便器に乗ってドアの上を越えられないかも試してみたが、やはり最強の壁には手をかけることすらできない
けっきょく脳みそをフル回転した結果
【誰かが私の神隠しに気がついて探しに来るまで大人しく待つ】
という作戦にもならない作戦に決定した
思わぬ脱出路
すっかり観念した私は、便器におとなしく座りながら


と反省したり落ち込んだりしていた
そこから何分ほどたったであろう、ふとドアの下の方に視線を動かしたところ、あることに気がついた

そう、焦っていたのでまったく気がつかなかったのだが、床とドアとの間には指が余裕で入るほどの隙間が空いていた

そう思った瞬間、私は両手をドアの隙間に入れ、全力で引っ張っていた
なおも抵抗する最強の壁
先ほどとは違い、指先に全力を傾けることが可能になっていた私は、無意識のうちに100%中の100%の力を開放し、ついに最強の壁は一気に動いた
ちなみに、その反動で反対側の壁に背中を打ちつけられ、めちゃくちゃ痛かったのを記憶している
とにもかくにも、なんとか最強の壁を突破し、無事に魔のトイレから脱出することに成功したのであった
エンディング
命からがら戻った病室には、テレビを見ながら私のベッドで横になっている母親がいた
何を言われたのかはよく覚えていないが、まったく心配もされていなかった記憶がある
そして私も怒られるのがイヤだったので、何事もなかったかのようにしていた
ちなみに次の日の朝、どうしても気になったので再びそのトイレを見に行ってみたのだが、ドアはまったく引っかかることなくスムーズに開閉していた

今でも私はそう思うようにしている
今回もちょっと不思議でおバカな話をお送りしましたが、最後までご覧いただきありがとうございました!