もぐすけです
ふと子供のころに体験したちょっと怖くて不思議な話を思い出したので、今回はその話をご紹介します

目次
プロローグ
話は約30年前の小学校1年生の頃までさかのぼります
子供のころの私は体がとても弱く、いつも喉を真っ赤に炎症させては熱を40度近くまで出すという生活を繰り返していました
そんなある日の夜、高熱でいつも以上にうなされていた私は、近所にあるU病院の夜間救急に運ばれました
そして検査の結果、肺炎らしき症状がみられるということで緊急入院することになりました
入院生活
いつもは熱が2~3日で下がっていましたが、この時は4日間以上の高熱が続いて、大人になってから聞いた話では、けっこう危ないところだったそうです
その後、幸いにも天に召されることはなく熱は下がってきましたが、私に待っていたのは1ヶ月間という長い長い入院生活でした
入院2週目にもなると、セキが出る以外はほとんどいつもと同じ状態に戻ったものの、当時はゲームなどをすることもできなかったので、味がしない病院食を食べてひたすら寝るだけの日々を強いられていました
好奇心
すっかり入院生活にも慣れてしまったある日、私は小さな楽しみを思いつきました
それは、病院内が消灯してみんなが寝静まったころを見計らい、暗い病院内を探検することでした
今なら怖すぎてとてもできませんが、怖いものなしだった当時の私は、消灯後に訪れる非常灯だけの病院内の様子に、好奇心と冒険心を駆り立てられました
そして計画を実行すべく、昼は病院内をくまなく下見し、夜は看護師さんが見回ってくるタイミングを覚えるなど、子供なりに準備を整えていきました
計画実行
それから数日後、ついに計画を実行するときがきました
消灯後、作戦どおり1回目の看護師さんの巡回をやりすごした後、私は探検の旅に出たのです
入院していた病院はそれほど大きくありませんでしたが、小学1年の私にとっては広大なフィールドだったに違いありません
探検といっても、ただ病院内を歩き回ったりするだけですが(笑)
探検は自分の病室がある3階から順番に進めていき、1階にある外来の待合スペースをゴールとしました
不思議な出会い
探検中の記憶はあまり残っていませんが、きっと暗いフィールドをドキドキしながら歩き回っていたと思います
そして何事もなく1階まで降りてきたとき・・・ここから先の記憶は鮮明に残っています
1階も一通りの探索を終え、私は少し疲れたのか外来の応接スペースのイスにヒョコっと座って休んでいました
昼間は日差しも入り、患者や看護師さんでザワザワしているのがウソのように暗くシーンとしていて、子供ながらに少し不気味さを覚えたのを記憶しています
それから数分が経過したころ、廊下の奥から2人のヒトがこちらに歩いてきます
「ヤバい!看護師さんにみつかった!!」
とっさに逃げようと立ち上がりましたが、かすかに聞こえてくる話声をよく聞いてみると、それはおじさん2人の楽しげな声でした
普通なら逃げることを選択するはずだと思うのですが、誰もいない不気味な空間にヒトが来て安心したのか、再びイスに座りながら向かってくるおじさん2人を観察していました
そしていつの間にか待合スペースまでやってきたおじさん2人は、相変わらず楽しそうに話をしながら私の近くのイスに座ったのです
遠くではよくわかりませんでしたが、あらためて座ったおじさんを見た私は絶句しました・・・
なんと、2人とも顔が包帯でぐるぐる巻きになっていたのです
今でも鮮明に覚えていますが、まさにミイラ男そのまんまでした
おじさんとの交流
おじさん2人はよくわからない話を楽しそうにしていましたが、近くにいる私のことは完全に無視です
まるでそこには2人しかいないかのように会話に夢中になっています
そこで私は何を血迷ったのか、おじさんたちに話しかけてみることにしました
「こんばんはー!」
その瞬間、2人のおじさんはビクッとしながら私のほうを見ました
そして

と 驚きながらも返事を返してくれました
そこから私とおじさんたちとの交流が始ましました
最初におじさんたちは

と不思議そうに聞いてきましたが
いや、ぜんぜん」
と元気に答えたのを鮮明に覚えています
その後の会話はぼんやりとしか覚えていませんが


など、3人でとりとめのない話をしていたのを記憶しています
別れ
話し始めてどれくらいたったでしょうか、さすがに眠くなってきた私はイスから立ち上がり
そろそろ帰るねー
そう言うとおじさん2人は

と言いながら見送ってくれました
その場を離れつつ、たまに振り返りながらおじさんに手を振っていたのだが、心なしかおじさんたちが寂しげに手を振っている感じがした記憶があります
そして階段で3階の病室まで戻り、無事に看護師さんに見つかることもなく私の探検は終了しました
後日談
実はこの話、当時から誰にも言わずに心の中に封印していました
当時は、言えば絶対に怒られると思ったので秘密にしておき、それがそのまま記憶の片隅に封印されてしまっていたのです
そして2年前の正月、実家で母と昔話をしていた時にふと記憶がよみがえったので、ふとこの話をしてみた
そこで母から思いがけない事実を耳にしました
母:「あんたねー、当時のU病院は小児科と内科しかない病院だったんだから、そんな外科で面倒みるような包帯ぐるぐる巻きのヒトなんて入院してるわけないでしょ」
「だいたい、そんな重病人が夜中に2人で楽しく話ができるわけないでしょ」
「アンタはあの時ひどい肺炎で寝込んでたんだから、きっと変な夢でも見たんだよ」
私は絶句しました・・・念のため調べてみると、たしかに当時のU病院には外科や整形外科の診療科目はありません・・・
その夜は酔いもすっかり覚めてしまい、当時のことをいろいろと考えながら寝つけなかったことを今でも覚えています
おわりに
私が体験したことは現実だったのか、はたまた変な夢だったのか、今となっては記憶だけの話です
ですが
「おじさんたちのこと怖くないのかい??」
「気をつけて帰るんだよ。もうこっちに来たらダメだからねー」
というセリフと、別れ際に寂しげに私へ手を振っていた姿は今でも鮮明に記憶に残っています
という不思議な昔話でした
それではまた