マイホーム購入の検討を始めると、家族や不動産会社や会社の同僚などたくさんの人から
というようなことを言われると思います
もしかしたら、その一言が購入の決め手になってしまったりするかもしれません。
ですが、マイホームは本当に自分の資産になるのでしょうか?
今回は「賃貸とマイホームはどちらが得なのか」
というのはちょっと置いといて
「マイホーム(新築一戸建て)は本当に資産となるのか?」
というギモンを考察していきます
目次
マイホームは本当に資産となるのか?
マイホームが資産となる可能性は限りなく0に近い
「資産」とは?
そもそも「資産」というのは「個人や法人が所有している財産で、将来的に利益をもたらしてくれるもの」をいいます
例えば
「500万円で買った車が、10年後に希少価値が出て1,000万円の価値になった」
ということになれば、その車は立派な資産です
「資産」となるマイホームとは?
「資産となるマイホーム=将来的に買ったとき以上の価値となる家」
日本には「資産となるマイホーム」はほとんど存在しない
資産となるマイホームとは、将来的に買った時点の価値よりも高くなる家のことをいいます
もし4,000万円で買ったのに、売る時は500万円の価値しかなかったとしたら、単純に割高な物を買っただけということになります
それをローンで買ったとすると、資産どころか多額の「負債」を抱えてしまったことになります
では日本のマイホームがどうなのかというと・・・
【出典:Economist.com より】
この表は1980年の住宅の価格を基準として、2016年までの住宅価格の推移を示している表ですが、ご覧のように日本はまったく上昇していません
中には持てば持つほど価値が上昇していく住宅もありますが、それはほんの僅かですし、そんな優良不動産は投資家が一瞬で掴んでしまうので、私たち庶民が手に入れることはほぼ不可能です
よって、日本ではごく一部の資産家でもない限り「資産」となるマイホームを手に入れることはできません
マイホームを買った時点では「資産」ではない
・購入費用には諸費用や消費税が含まれているので、「購入費用=マイホームの価値」ではない
・買った時点では「購入費用>マイホームの価値」となるので、「資産」ではなく「負債」からスタートする
・住宅ローンを組んだ場合、「金利」が購入費用に上乗せとなるので、「購入費用」と「マイホームの価値」との差はさらに開く
例えばフルローンを組んで不動産の仲介業者から
「土地:1,000万円 建物:3,000万円 合計:4,000万円(消費税や諸費用込み)」
のマイホームを買ったとします(田舎基準です)
パッと見ですと「4,000万円支払って4,000万円の価値があるものを手に入れた」ように感じると思いますが、実はそうではありません
この中には「仲介手数料」「登記費用」「ローン保証料」・・・などなどの諸費用、そして「消費税(土地は非課税)」も含まれています
一般的な目安としては、総額の20%程度は税や諸費用といわれていますが、この分はマイホーム自体の「価値」には含まれません
つまり「4,000万円を支払って3,200万円の価値の物を手に入れた」ということになります
極端な話、完成したマイホームに入った瞬間、すでに建物の価値は購入費用から2割ほど下がった状態となっているため、たとえその場ですぐに売ったとしても購入費用と同じ価格では売れません
そのため、新築のマイホームを買った時点では、ほとんどの場合「資産」ではなく「負債」の状態からスタートすることになります
さらに忘れてはいけないのが、住宅ローンを組んでいる場合は「利息」の支払い額も考えなくてはなりません。
仮に35年ローン、金利は2020年6月時点の相場金利[1.3%(固定金利)]で計算してみると
「約1,000万円」にもなります
これを購入費用に上乗せすると「4,000万円+1,000万円=5,000万円」がマイホームの真の購入費用ということになります
ということで、スタート時点では
「5,000万円を支払って3,200万円の価値の物を手に入れた状態」なので、1,800万円の負債を抱えて35年間の長い道のりがスタートするわけです
ローンの支払いが終わった時点で「資産」となるのか?
「土地:1,000万円 建物:3,000万円」で買ったマイホームが35年ローンを完済した時点の価値 ※ 土地の価格は変わらないと仮定
〇 土地:800万円(1,000万円×80%(購入時諸費用20%除く))
〇 建物:0円(査定相場)
→ 購入費用:5,000万円 > 価値:800万円 → 「資産」ではない
まず、②でお伝えしたように日本のほとんどの住宅は所有していても価値は上がりません
それどころか、年数が経過するにつれて価値がどんどん下がってしまいます
住宅ローンの支払いが終わる35年後の住宅の価値は、ごく一般的な住宅であれば査定相場は「0円」です
土地にボロ家がおまけでついている程度のものとなってしまいます
ということで、35年ローンを完済した時点でのマイホームの価値は・・・
「土地:1,000万円 建物:3,000万円」で買った一般的なマイホーム
※ 土地の値段は変わらないと仮定
〇 土地:800万円(1,000万円×80%(購入時諸費用20%除く))
〇 建物:0円(査定相場)
「購入費用:5,000万円 > 価値:800万円】
となるので、残念ながらこのケースでは資産とはなりませんでした
あくまで一例なので、土地の地価が大幅に上昇した場合や、有名デザイナーの住宅で希少価値が出たというケースもありえますが、ごく一般的にはこのような結末を迎えることになると思います
まとめ
今回は「マイホームと賃貸はどちらが得なのか?」ではなく、あくまで「新築一戸建てのマイホームは資産となるのか?」について考察しました
いろいろな人から
と言われたり、実際も家が自分の物になるので、間違いなく資産になると思ってしまうのはムリもないと思います
ですが「資産とはなんなのか?」というのを考えてみると、日本ではマイホームが資産となる可能性がとても低いことに気がつくのではないでしょうか
今回の記事が少しでもお役に立てば幸いです。
ちなみに「マイホームは資産にならない」というのを理解したうえで、自分の城を構えて精神的に安定したいというような「精神的な資産」を求めるのでしたら、マイホームの購入はアリだと思います
【マイホーム派 vs 賃貸派】という決して終結することのない論争がありますが、私は戦う土俵がまったく違うと思っているので、この戦いに参戦するつもりはありません
と言いつつ、今後もちょっと違った切り口で考察していくかもしれませんけどね
それではまた