公務員の話

【公務員の話⑭】都道府県の選挙管理委員会はどんな仕事をしているの?(経験談)

今回は「都道府県の選挙管理委員会はどんな仕事をしているの?」

という素朴なギモンについて、以前に都道府県の選挙管理委員会で働いていた経験をもとに紹介します

※ 各都道府県によって細かな内容は違っていると思いますがご了承ください

選挙管理委員会とは?

・「選管」という略称で呼ばれています

・ 国、都道府県、市区町村にそれぞれ設置されています

・ 選挙で不正や間違いなどが起きないように、選挙に関するあらゆる事務を管理しています

・ 選挙管理委員は数人しかいないので、役所内に設置している「事務局」が事務をしています

・ 投開票に関する仕事はもちろん、投票のPR活動などもしています

選挙管理委員会は「選管」とも呼ばれていて、国や都道府県、そして各市区町村に設置されています

・国(総務省)

中央選挙管理委員会

・各都道府県、市区町村

(各都道府県・市区町村)選挙管理委員会

それぞれの選挙管理委員会で「選挙管理委員」という人が選ばれていますが数人しかいないので、事務関係は各役所に設置している「事務局」が担当しています

ちなみに、選挙の日に投票所で受付している職員は「市区町村選管の職員」がほとんどです

都道府県の選管はどんな仕事をしているの?

衆議院・参議院選挙や都道府県の議会議員、そして知事選挙に関する事務をしています

選管の役割は、国や都道府県と市区町村で少しだけ違いますが、私が働いていた都道府県の選挙管理委員会の仕事をメインにご紹介します

選挙に関する仕事

【主な仕事】

① 立候補の受付

② 投票用紙と選挙公報を作って市区町村の選管に配る

③ 投票日のPR

④ 問い合わせの対応

⑤ 選挙に必要な費用の集計作業

⑥ 選挙当日の情報収集や報道発表など

⑦ 開票結果の確認、当選人の決定

選挙に関する仕事は紹介しきれないくらいたくさんあって、メインの仕事でもこれだけあります

1 立候補の受付

・選挙に立候補する人からの届出を受け付ける

・立候補の状況を報道発表する

立候補の受付

選挙がスタートして最初の大きな仕事は「立候補の受付」です

衆議院選挙や参議院選挙、そして都道府県の議会や知事選挙への立候補は、都道府県の選管で手続きを行い、市町村の議会議員や首長への立候補は、市町村の選管で手続きします

立候補ができる日は選挙の「告示日」や「公示日」の1日だけで、この手続きが終わらないと選挙カーで走り回ったり演説もできません

手続きに必要な書類は10種類ほどあり、どれも絶対にミスが許されない書類なので、複数の職員の目で厳重にチェックします

ですが、本番当日に書類チェックに時間をかけていると、候補者がいつまでたっても選挙運動をスタートできないので、スムーズに終わらせるために1~2週間前から「事前審査」というのを受け付けています

「事前」といいながらも、実際はすべての書類を厳重にチェックして、完了したら書類を封筒に封印し、本番当日にそのまま持参してきてもらいます

という感じで、この仕事は選挙の「公示日」や「告示日」の1~2週間前からスタートします

選挙の仕事は絶対にミスが許されない仕事ですが、特にこの仕事をミスると本番当日に候補者が出遅れて大変なことになるので、担当者は緊張感MAXで仕事をしています

2 投票用紙と選挙公報の製作

【投票用紙】

各市町村へ投票用紙の枚数を確認し、まとめて業者へ発注 → 完成品を市町村へ引き渡す

【選挙公報】

立候補者から原稿を提出してもらう → 業者へ発注 → 完成品を市町村経由で各家庭に配布

投票用紙

・選挙でとても大事な「投票用紙」と「選挙公報」を用意するのは都道府県の選管の仕事です

・投票用紙は、あらかじめ市町村へ必要枚数を確認して都道府県がまとめて印刷の発注をし、納品された大量の投票用紙を市町村ごとに仕分けて引き渡します

・やること自体はシンプルですが、例えば、衆議院選挙だとしたら「小選挙区」「比例代表」そして「最高裁判所の国民審査」があるときは3種類の投票用紙となるので、かなり気の遠くなる作業となります

・万が一、市町村で紛失などがあったときに特定できるように、投票用紙が入った箱にナンバリングされている番号を全て記録しながら、市町村ごとに箱を割り当てていきます

選挙公報

・「選挙公報」というのは、候補者の名前と公約が書かれている新聞のようなもので、選挙が始まったら各家庭に配られます

・選挙公報の原稿は、立候補者から都道府県の選管へ提出し、そのままの内容で印刷業者に発注します

・この原稿も「事前審査」のときに確認するのですが、内容には絶対に口出ししてはいけないので、原稿のサイズや誤字だと思われるものをチェックするだけです

・そして印刷の原版と提出された原稿とを慎重に見比べて、誤りがないかを最終確認します

→ ここでミスを見逃してしまうと、印刷がやり直しになって莫大な追加経費が発生してしまうので、絶対に見逃すことができません

・完成した選挙公報は、市町村にお願いして各家庭に配ってもらいます

・ちなみに選挙公報に書いてある候補者の順番は、選管の職員が「くじ引き」をして決めています

候補者が立ち会うこともできますが、私の経験上では来たのを見たことがありません

3 投票日に関するPR

0.1%でも投票率を上げるために、さまざまな広報活動をするのも選管の仕事です

【主なPR活動】

・新聞広告やホームページへの掲載

・ラジオCM

・イベントなどでグッズ配り

・広報車で街中を回る

活動の内容は都道府県によって違いますが、このような活動が一般的だと思います

真夏の参議院選挙のPRのために、過労死1歩手前の状態でマスコットキャラの着ぐるみ着て1時間以上走り回ったときは本当に死ぬかと思いました…

選挙が近づくと毎日17時間以上はデスクワークだったので、広報車で走るのはちょっとした気分転換になっていました

しかし、事務所に戻ったら机の上が富士山みたいになっているので、一瞬で現実に戻されましたが

4 問い合わせ対応

選挙が始まると、市町村の選管や候補者や住民、そしてマスコミなどからいろいろな問い合わせや選挙違反に関する苦情がきます

ちなみに、候補者が違法な選挙運動をしていたとしても、選管では違法と断定して取り締まることはできず、できるのは警察だけです

選管で唯一できることは「公職選挙法」などの法律の解釈を確認して、相手へ見解を示してあげることだけです

5 選挙に必要な事務経費の集計作業

選挙を運営するためには様々な経費がかかります

【主な経費】

① 投票所・開票所の設置費用

② 投票用紙の作成費用

③ 物品代

④ 投票用紙の交付機などの備品

⑤ 残業代やアルバイト代などの人件費

など、たくさんの費用が必要となります

この費用の負担については、以下のように分かれています

【衆議院・参議院選挙】

【都道府県の議会議員、知事選挙】

都道府県

【市区町村の議会議員、首長選挙】

市区町村

例えば「衆議院選挙」のような国政選挙では、都道府県や市区町村でかかった経費を国へ報告しなくてはならないので、市町村でかかった経費を都道府県が集計して国へ報告します

この事務を担当すると、他の担当者は選挙が終わってホッとしているなか、1人ぼっちで年度末までこの仕事と付き合うことになります

私はなぜか毎回これの担当をさせられていました

6 選挙当日の情報収集や報道発表など

メインの仕事となるのが選挙当日の対応です

投票所の運営や開票作業は市町村選管が担当しているので、都道府県選管は「投票状況」や「開票状況」を確認しながら、国へ報告したり報道発表をします

市町村の選管よりも楽そうな感じがすると思いますが、私が経験した衆議院選挙当日のタイムスケジュールはこのような感じでした

7:00~ システム担当者出勤~システム起動

8:00~ 他の選管職員出勤

9:30~ 事前にピックアップした投票所の投票率を市町村から確認 → 公表

→ 以降、定期的に確認しながら20:00まで作業

13:00~ 空いた時間で昼食

16:00~ 開票結果の報告の流れを全体でミーティング

18:00~ 空いた時間で夕食

20:00~ 投票終了 → 開票の中間状況を確認 → 公表

→ 以降、30分おきに確認(時間厳守)

24:00頃 小選挙区選挙の開票が終了

29:00頃 比例代表の開票が終了~片付け

30:00頃 いったん帰宅

といった感じで、ほぼ24時間ぶっとおしの仕事です

1番キツイのは、20時からスタートする「開票の中間状況の確認」です

各市町村から30分おきに開票状況の報告をもらい、それを集計して公表していくのですが、公表は1秒たりとも遅れることが許されません

少しでも集計に苦戦すると、あっという間に公表時間が遅れるので常に気を抜くことができません

という緊張感MAXの作業が、開票終了まで30分おきに続いていきます

市町村は自分たちの開票が終われば帰宅できますが、都道府県の選管は所管する全ての市町村の開票が終わるまで帰宅できないので、この選挙の時は翌朝6時ころに帰宅できました

そして翌日も重要な仕事があるため、シャワー入って朝ごはん食べたらすぐに出勤です

7 開票結果の確認、当選人の決定

開票結果の確認

・選挙の翌日もミスの許されない仕事が続きます

・各市町村から「投票結果」や「開票結果」を細かく記録した書類を持参してくるので、分担しながら丸1日かけてチェックしていきます

・徹夜明けでフラフラですが、もちろん1ヶ所のミスも許されないので、選挙当日よりもキツかったです・・・

・帰宅できたのは21時頃だったので、前日から40時間近くは寝ずに作業をしていたことになります

最後は晩ごはんを食べながらそのまま朝まで気絶しました(笑)

当選者の決定

・開票結果を確認した翌日に「選挙会」という会議を開催し、開票結果をもとに当選者を正式決定します

・選挙当日に候補者が「バンザーイ」してますが、厳密にいうとあの時点では当選したわけではありません

おわりに

選管は選挙がない時期はそれほど忙しい部署ではないですが、選挙モードになると一気に激務となります

この記事は5~6年前の記憶を頼りに書きましたが、辛かったことを忘れようとする本能がが働いたのか、なかなか思い出せませんでした(笑)

ということで、選管の仕事風景は表に出ることがないですが、選挙は職員の血のにじむような思いとたくさんのお金をかけて運営していますので、どうか投票には行ってください!

昔と違って期日前投票が本当に簡単にできるようにもなったので、貴重なあなたの1票を活かしてくださいね

それではまた!

ABOUT ME
もぐすけ
元地方公務員の脱サラ中年「もぐすけ」です。 誰もが思いそうな素朴な疑問(略して「そぼぎ」)について情報発信しています。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA