2020年6月2日に国会で成立した「改正道路交通法」が2020年6月30日からスタートしました


今回の道路交通法改正は、リーフレットにも書いてあるとおり
「あおり運転の厳罰化」がメインとなります
この罰則、ものすごく厳しいので本当に気をつけてください
どれくらい厳しいかというと
① 妨害運転【交通の危機のおそれ】(違反点数25点)と同等の違反
共同危険行為(集団暴走など)
無免許運転
酒気帯び運転(呼気アルコール濃度0.25mg以上)
過労運転等
② 妨害運転【著しい交通の危険】(違反点数35点)と同等の違反
酒酔い運転
麻薬等運転
このような非常に危険な違反と同じ扱いになります
最悪は交通刑務所に収監され、免許も2~3年間の取消しです
前の車にイライラして煽ったというだけで、たぶん仕事は失い、社会的信用も失い、免許も失うことになるので、人生を立て直すのは相当難しいと思います
そこで今回は、リーフレットの中にも書いてある「妨害(あおり)運転の対象となる10の違反」について、具体的にどのような運転をすると違反になるのかを解説します
ちなみに、以前の記事で「あおり行為を受けた時の対処法」もご紹介していますので、あわせてご覧ください

目次
妨害(あおり)運転の対象となる違反とは?
妨害(あおり)運転の対象となる違反
1 通行区分違反
2 急ブレーキ禁止違反
3 車間距離不保持
4 進路変更禁止違反
5 追い越し違反
6 減光等義務違反
7 警音器使用制限違反
8 安全運転義務違反
9 最低速度違反(高速自動車国道)
10 高速自動車国道等駐停車違反
これらの違反がどのようなものなのかを具体的に解説します
① 通行区分違反

言うまでもないですが、車線を守って走らないと違反です
対向車が来ているのに追い越しするために対向車線に出たり、右左折専用レーンを直進したりして他の車を危険にさらしてしまうと、この違反が適用される可能性があります
片側1車線の道路で、対向車が近くまで来ているのに対向車線に出て追い越しをかける車をよく見かけるんですが、これからは絶対にやめたほうがいいですよ
② 急ブレーキ禁止違反

もちろん人や動物の飛び出しや事故の回避など、危険を回避するための急ブレーキは問題ありません
問題なのは「相手の車を妨害するための急ブレーキ」です
例えばあなたの車が後ろから煽られているとします
その時に
という目的で急ブレーキをかけると、この違反が適用される可能性があります
つまり、煽っている相手と同罪になってしまうわけです
どれだけ正当性を主張しても、法律で決きまっている以上は通りません
腹は立つかもしれませんが、煽ってくるようなおバカさんと同類にされないように気をつけましょう
③ 車間距離不保持

あおり運転といえばこれですね
2017年に起きた「東名高速での死亡事故」や2019年の「常磐道での悪質なあおり運転&暴行事件」は記憶に新しいところですが、それ以降も「あおり運転」が減る気配はありませんでした
私の体感でも、車間距離を詰めてくるドライバーはまだまだ多いように感じます
その中でも特に感じるのは、無意識に車間距離を詰めて走っているドライバーです
女性ドライバーに多いように感じるのですが、バックミラーを見ていても特にイラついている挙動は見えないのに、車間距離だけをやたらと詰めてくるドライバーがいます
一般的に、雨が降っていなくて見通しがよいときに最低限必要とされている車間距離は、時速60Km以下では
「スピードメータの数字 – 15m」
といわれています
例えば60Kmで走っているとすると「60-15=45m」が最低限必要な車間距離といわれています
そして60Kmを超えた速度の場合は「スピードメータの数字=m」 に変わります
といわれても、走っていてもなかなか感覚がわからないですよね
そこで、警視庁や埼玉県警などで提唱されている方法が
「2秒ルール」です

【出典:埼玉県警「0102」運動パンフレット】
「距離だと感覚がつかめないので、時間を頼りに距離をつかもう」という考え方です
前を走っている車が電柱などの目標を通りすぎたタイミングから
「ゼロ イチ ゼロ ニ」
と数えていき、「ニ」の時点で前の車が通った目標物の位置に自分の車があれば、「だいたい2秒」という数え方です
晴れていて見通しのよい道路なら、先行車と2秒の距離があれば安全を確保できるといわれているので、これなら実践しやすいのではないでしょうか
きっと最初は自分が安全だと感じている車間距離よりもかなり広い感じがすると思います
ですが、車間距離を空けすぎてもデメリットはないので、今回の改正を機に実践してみてはいかがでしょうか
④ 進路変更禁止違反

一言でいうと「オレンジ(黄色)の車線で進路変更する」「急な車線変更で後続車の妨害をする」をしちゃダメだよ、という内容です
車線変更するときは「サイドミラーや目視で確認する」のはもちろんですが、ウィンカーを出して一呼吸おいてから車線変更をすれば安全です
周りにカッコつけたいのか、ウィンカーを出さないでいきなり車線変更する車が多く感じるのですが、本当に危ないです
訓練された高速機動隊の覆面パトカーのように、キレイでスムーズな車線変更のほうがカッコイイと思うのですが
⑤ 追い越し違反

はみ出し禁止(オレンジの車線)で追い越すのは本当に危ないのでやめましょう
パッと見は問題ない道路に見えても、はみ出し禁止にする理由が必ずあってのことなので、自分の思い込みで安全だと思わないようにしましょう
⑥ 減光等義務違反

夜間の道を走る時、ほとんどのドライバーは「ロービーム」で走りながら、暗い場所では「ハイビーム」に切り替えていると思います
ですが、実は法律上では夜間の走行はハイビームが基本で、対向車や歩行者が近づいてきたらロービームに切り替えるという決まりなのです
そして、歩行者や対向車がいるのにロービームに切り替えていなかったり、威嚇のパッシングをしてしまうと、この違反となります
最近の車はヘッドライトがハロゲンではなくHIDやLEDの車が増えてきたので、対向車がハイビームにしたままだと本当に眩しいです
しかも、最近は自動的にハイビームとロービームを切り替えてくれる「オートライト機能」が付いている車もあるので、対向車が来ていても誤作動でハイビームとなってしまい、そのまま気がつかないというケースもあるようです
⑦ 警音器使用制限違反

警音器(クラクション)を鳴らすことが許されるのは

この標識がある場所と、見通しがきかない交差点や曲がり角、そして危険を回避するための時だけです
それ以外、例えば「相手の車や歩行者を威嚇するためにクラクションを使う」と違反となります
道を譲ってくれた時に「プッ」と鳴らすのも厳密には違反ですが、その程度で捕まることはないと思うし、パトカーがしているのも見たことがあります
威嚇のためにクラクションを使うと高い確率でトラブルの元になるので、使うのはやめましょう
⑧ 安全運転義務違反

自動車を運転するとき、ドライバーには「どんなときも安全運転しなさい」という義務が課されているので、それを怠ってしまうと違反となります。
例えば
ハンドルやペダル操作を間違える
前方不注意
わき見運転
漫然運転
安全を確認しない
安全速度違反
先を予測しないで運転する
といった運転です
これまでご紹介してきた違反行為も、広い意味ではこの違反につながってくるものです
⑨ 最低速度違反(高速自動車国道)

高速道路は一般道よりも車の流れがとても速く、その中でノロノロ走っていると追突の危険があるため「最低速度 50Km/h」という制限が決められています
「スピード違反」といえば速度超過のイメージがあると思いますが、この速度未満で走るのも「スピード違反」です
高速道路を50Km/h未満で走っている車はめったにいないと思いますが、私は1回だけ遭遇したことがあります
一般道の最低速度に関しては、標識で指定されている区間以外は何もないのですが、それを悪用した「逆あおり運転」が社会問題となっています
例えば
①「60Km/h 制限」の道路をわざと20Km/h以下でノロノロ走る
② しびれを切らして煽ってきた後続車を止めて恫喝したり、カメラで撮影してネットに「あおり運転」として動画をアップしする
などの悪質な行為です
もし不幸にも遭遇してしまったら、おそらくマトモな精神状態の人ではないので、とにかく車間距離を詰めるようなことはせずに迂回できる道があったら迂回するか、コンビニなどに避難しましょう
⑩ 高速自動車国道等駐停車違反

このような行為のことです

【出典:2020.6.29 FNNニュース】
こんな行為は本当に、絶対にヤメましょう
ちなみに、このように路上で止められたときの対処法を以前の記事で紹介していますので、あわせてご覧ください

おわりに
何度も言いますが、罰則が無免許や飲酒運転と同じくらい厳しい内容となっていますので、今回ご紹介した10種類の違反にはくれぐれも気をつけてください
たくさんあるように見えますが、「イライラせずに車間距離を十分にとってフツーに安全運転」していれば、すべてクリアできる内容です
さっそくヘリコプターとパトカーで連携して取り締まりを開始する都道府県もあるようです
空から監視されてしまったらどうしようもありませんね
それではまた